ボーリングによる地質調査では、特殊な場合を除いてほとんどが地面に対して鉛直方向に掘削をしていきます。平野部であれば、はじめはスコップで掘れるような“土”を掘削していきますが、この下には“基盤岩”が広がっています。
基盤岩は様々な“岩石”により構成されていて、岩石の種類は場所によって異なります。香川県を例にあげると、北の方の庵治町付近では庵治石で有名な花崗岩と呼ばれる岩石が基盤岩ですが、南の阿讃山地では、和泉層群と呼ばれる地層構造がある砂岩や泥岩といった堆積岩が基盤岩です。
岩石はその種類や風化の具合によって割れ方や硬さが違い、ボーリング調査で掘削するときにはこの違いによって掘削の仕方を変える必要があります。
ボーリング調査では掘削するのと同時にその試料を採取します。ですから錐で穴をあけるように掘った部分を粉々にして削るのではなく、試料とする部分を残しながらその周りだけを削りながら掘削する必要があります。また、削る部分には硬質のビットを装着し、これを回転させて地盤を削るのですが、削る際に摩擦熱が発生してそのままでは焼き付いてしまうため水を送って冷却しながら掘削します。この水は削りくずを地上に排出する役目も兼ねています。
このような方法で掘削をするとき、実は硬い岩盤よりも柔らかい岩盤のほうが試料をとりづらいのです。たとえばよく苦労するのが花崗岩の風化した部分です。風化しているために崩れて削孔水により流れやすく、かといって土と同じような方法では硬すぎて採取できないため水をぎりぎりまで少なくして慎重に採取する必要があるのです。ここがボーリング屋さんの腕の見せ所です!
普通は硬い岩盤の方が掘りにくいだろうと思われがちで、たしかに硬い岩盤の方が時間はかかります。でもほんとうに技術が必要となるのは、崩れやすい風化した岩盤や地すべり地帯で破砕された岩盤なのです。 |